働き方と勤労観を考える

日付 2016/12/08
卓話者 社会保険労務士 法人ウインツ 工藤和義様

1)働き方改革のすすめ
アベノミクスの構造改革として一億総活躍社会実現で「働き方改革」を実行し、労働生産性を改善、経済を活性化させるとした。
働き方改革については、少子高齢化の進展による労働力減少が大きな背景にある。
減少する労働力の担い手として、AI(人工知能)やIT(情報技術)を活用して生産性を高めるほか、女性活躍推進法もあいまって、女性労働者や高齢者の継続就業、外国人の就業などが挙げられる。
2)変化した勤労観

女性・高齢労働者またはグローバルな展開を求める企業は、従来の「男性正社員像」から個々特性を活かしたダイバーシティとしての生産性維持への転換が必要となる。
従来の勤労観として、「一生懸命働く=長時間労働」というものから、長さではなく、「効率」を重視した働き方へ変革しなければ、生産力が維持できない。
一方で若い労働者の勤労観は、「がむしゃらに働く」「賃金を多く得て豊かさを求める」というより、「そこそこ働いて」「充実した日々をすごし」「楽しい“もの”ではなく、楽しい“こと”」を求める傾向らしい。
働き方改革は、「長時間労働の是正」「同一労働・同一賃金」といった、労働での安心・安定を実現していくことを中心としている。電通事件など悲惨な出来事もあり、長時間労働など、人としての生活までも脅かすような働き方、組織風土、環境等は早期に改善しなければならない。
3)長時間労働はなくならない?
労働基準法では時間外労働を行う場合、36協定(サブロク)といわれる協定書の届出が義務付けられている。そこには、時間外労働の上限時間を定めるようになっているが、超過する場合は「特別条項」を入れ込めば、実質青天井で時間外労働を行わせることができる。
労働時間を短縮あるいは休日を増やし、労働投入量を少なくして、企業競争に影響がないのであれば問題ないが。
中小企業が99.7%を占める中で、企業競争力を「労働時間」ではなく「生産性」でまかないきれる企業がどれほどあるのだろうか?
4)働き方改革のイメージ
最低賃金が上昇し、生産性をもって賃上げをカバーできる体制が必要であるが、その生産性が「労働時間でしか対応できない」中小零細企業が依然として存在する。そこには、若い労働者の勤労観と実際の労働で乖離がある。若く優秀な労働者の確保と活力ある企業としての働き方改革は、働く時間を「縮小」した分、「自分の充実した時間の拡大」を理解し、そのことが企業の「業績・利益」につながるという生産性のもたらすイメージを持ち、強力に推進する意志が持てるかがキーとなるのではないか。