オーケストラ

日付 平成28年6月9日
会長 小嶋 一範

プロのオーケストラでも、楽譜を見ながら演奏しています。プロなのに暗譜してもよさそうなのにと思う人が多いと思います。
オーケストラは、複数の演奏者が同時に奏でるため、全員が暗譜にたよると、アクセントやレガート(音をのばす)、クレシェンド(だんだん強く)やディミヌエンド(だんだん弱く)といった微妙な表現がバラバラになり、アンサンブルが成立しないからだといわれています。一人ひとりの楽譜には、そうした細かい情報が書き込まれているため、たとえ暗譜で弾けるレパートリーでも、楽譜を見ながら演奏するそうです。
では指揮者が振り間違えると、オーケストラの演奏はどうなってしまうのでしょうか。
指揮者とは、考えてみますと不思議な存在であります。自分では全く音を出すことがなく、タクトを振って人に音を出させるのが仕事です。その相手は各パートを奏でる演奏者たちですが、有名なオーケストラの奏者ともなれば、単独コンサートを開けるほどの実力者が揃っています。指揮者がわざわざ指示を出さなくても、演奏が立派に成立しそうな気がします。ところが、合奏というのは難しく一人ひとりの技術がいかに優れていても、それぞれの解釈で勝手に演奏すれば、曲として空中分解してしまいます。そうならないために、交通整理をするのが指揮者の役目だと言われています。
とはいえ、指揮者も人の子であります。どんなに有名な指揮者であっても、時には間違って振ることもあります。アマチュアのオーケストラの場合、指揮者が振り間違えると、演奏がつまずいたりしてアンサンブルが乱れ、素人の聴衆にもバレてしまうことが少なくありません。その点、プロのオーケストラは指揮者の間違えに「えっ」と思っても、コンサートマスターを中心に演奏を立て直してしまうそうです。
素人の聴衆は、演奏途中にそんな内部トラブルが起きていたことなどつゆ知らず「ブラボー」と拍手喝采を送ることになります。
ただ、時には素人にもバレることがありました。巨匠カラヤンがベルリンフィルオーケストラを指揮した際に振り間違えた時には、巨匠の失敗だけにオーケストラの楽員たちが凍りつき、聴衆もビックリという珍事となりました。今でも、クラシックファンの間では語り草となっているそうです。