犯罪とその成立要件

日付 平成28年5月12日
会長 小嶋 一範

犯罪は、その本質においては社会秩序に違反し、個人や社会の利益を侵害する行為であります。しかし、社会秩序を破壊し、他人の利益を侵害する行為がすべて犯罪として処罰されるわけではありません。それは、その他の民事法によって、個人レベルでの話し合いで解決を図るべき事案も多くあり、国家権力により必要以上に民事事件に介入し、前科前歴を有する国民を増やすべきではないという考え方によるものであります。

ある行為が犯罪として成立するためには、次の条件がすべて満たされなければならず、これらを犯罪の構成要件といいます。

①行為
 犯罪は「人の行為」でなければなりません。自然現象や動物の活動が、それ自体で犯罪となることはなく、また人の心理状態や人格態度が、それ自体で犯罪
となる事もありません。
②構成要件該当性
行為が犯罪となるためには「構成要件に該当」することが必要です。構成要件とは刑法やその他の刑罰法令に規定する犯罪の定型のことであり、その実質は違法行為の類型であるとされています。
③違法性
 構成要件に該当する行為が犯罪となるためには、その行為が違法でなければなりません。構成要件は違法行為の類型とされていることから、構成要件に該当
する行為は通常違法であるということですが、正当防衛や緊急避難は、その行為は違法な行為であっても犯罪としては成立しないとされています。また医者が手
術の際に患者の身体にメスなどで傷をつける行為は、刑法に照らすと傷害罪に当たりますが、これを犯罪として罰することはありません。(違法性阻却事由)
④有責性
 構成要件に該当し、更に違法性が確認された行為であっても、その行為が犯罪になるためには、その行為が「有責」になされたことが必要である。例えば、小学生が友達と一緒に遊んでいたときに、誤って怪我を負わせ死に至らしめることがあっても、その小学生の判断能力の有無やその将来性などを考慮すると、過失致死罪などを適用し犯罪人として処罰することは適切ではありません。(有責性阻却事由)