高崎山のサル社会

日付 2016/03/10
卓話者 一般財団法人 大分市高崎山管理公社 江川順子様

高崎山自然動物園は開園して63年を迎えます。もともと、大分市には観光施設が無く、戦後間もない頃、高崎山周辺の農作物被害が増え、観光と農作物被害防止のため、萬壽寺境内に猿寄せしたことがきっかけになり、動物園として1953年3月15日にオープンしています。延べ入園者数は5,000万人を超え、現在では水族館「うみたまご」と共に大分市を代表する観光地となっています。

そのような中で、ニホンザルというと、あまり良いイメージを持たれていない方が多いようですが、高崎山ではサル達が独自に自分たちのルールを決め、それぞれのグループで組織として運営されていることが現在では解ってきています。

そのサル社会に入って21年、私から見る高崎山のサルのお話を少しだけさせていただきます。開園当初、1つの群れしかなかったのですが、数が増えたことにより、A群からB群、C群と分かれてできました。現在はA群が消滅し、B群、C群と2つの群れで構成されています。

高崎山では、それぞれの群れごとに山から下りて来る順番をサル達が決め、交替で下りて来ます。各群れにはα(アルファ)オス(ボスザル)と呼ばれるオスザルがいて、一般的にはあまり知られてはいませんが、腕力でトップを決定するものではなく、他の群れから、各群れに入ってきた順にオスザルのみには厳しい階級が設けられています。つまり、群の中で1番長く生活しているオスがトップになるという社会です。

また、毎年、スケジュールが決まっており、11月~ 3月が発情期、恋愛期でこの期間中、自由に恋が出来る社会になっています。決定権はメス側にあり、近親婚を回避するために群れに長くいる階級の高いオスザルは近親の可能性もあることから選ばれないことが多く、逆に階級の低いオスはメスザルから好まれる傾向にあります。モテなくなったオスは自ら群れを替えることにより、新しい群れに移籍することでメスザルから注目をされることになります。

妊娠期間は5 ヶ月半で5月~ 8月に赤ちゃんが誕生します。産まれてきた赤ちゃんの父親は不明で、基本的に子育てはメスが行い、群れ全体を守る役割をオスが担っています。

長年サルを観察していますと、私たち人間社会に近いものがたくさんあり、また人間の原点を見ているように思えることがあります。上記に挙げた例はほんの一例で、サル社会は非常に奥深いものだと感じています。

観光面で売り出しを行ってきた高崎山ですが、現在では教育面での出張出前教室等を行うなど、さまざまな取り組みを行い、より一層サルの生態をみなさんにお伝えしていき、未来にわたって私たちと共存共栄できるように努力していかなければならないと感じているところです。