電気料金の仕組みと電力自由化について

日付 2016/03/03
卓話者 一般財団法人 九州電気保安協会 大分支部支部長 首藤 義博氏

九州電力の低圧(100V、200V)電気料金と高圧(6,600V)電気料金の仕組みは、図1が低圧で図2が高圧であり、図から分かるように基本的には同じ考え方である。但し、基本料金の考え方が異なっている。低圧の基本料金の従量電灯を例にとるとアンペア(電流値)制を基本としている。これは、ユーザーが必要なアンペアを電力会社に申し出て契約するものである。一方、高圧は実量制と呼び、実際に使用した最大電力(30分間の平均値)がベースであり、この値が1年間の基本料金となる。

【図1(低圧電気料金の仕組み)】

【図2(高圧電気料金の仕組み)】

更に、電気料金には燃料費調整制度※1と再生可能エネルギー発電促進付加金※2が使用料に応じて付加されている。
 ※1  火力燃料費の変動を迅速に電気料金に反映させる制度で、現在は燃料費が安価となっているのでマイナス方向である。
 ※2  再生エネで発電した電気を電力会社が一定価格で買い取り、電力会社が買い取る費用を電気をご利用の皆様から賦課金という形で集める制度である。

次に、電気料金の仕組みが解ったことから、料金を下げる方法について述べる。基本は、無駄な電気は使わないことである。これを低圧と高圧に区分すると図3のようになる。高圧に○印が付いている「空調機を一斉に稼働させない」とは、デマンド値を上げないことを意味する。その他、屋根や壁に遮熱塗装を施すことにより電気料金を2割程度軽減できることも紹介する。因みに、当協会の新事業所は全て遮熱塗装を施している。

低圧 高圧
無駄な電気は使用しない
空調機を一斉に稼働させない
省エネ器具・機械を使用する
遮熱塗装を施工する

【図3】

次に、電力の全面小売自由化について、今年度4月から本格導入される制度であるが、なぜこのようなシステムを取入れるかというと、以下のように大きなメリットがあるためである。

(市場のメリット)
・ 電力会社が独占供給していた約8兆円の小売市場が開放される
・ 既に自由化されている部分も含めると、総額約18兆円の巨大な自由化市場となる

(消費者のメリット)
・電力会社を選べる
・ セット割引などの料金プランの選択肢が増える (電気料金が下がる)
・ 再生エネなど環境を考慮した電気など、電気の特性から選べる
電力小売の仕組みは、図4のようになり家庭や商店などが今回の対象となる。

【図4】

小売登録電気事業者及び電力会社は、通信やガスなどとセットを含めた色々なプランを出しているので、どこが一番安いのか中々判断できないと思われる。このため、Web上でシミュレーションできるサイトもあるので、これらを使うか電力会社に相談して契約を決めた方が良いと考える。

因みに、小売登録電気事業者数は、2月23日現在で199者である。恐らく200者は超えるだろうと予測している。

一方、海外では電力自由化が推進され、電気料金が安くなっていると思われがちだが、ドイツ、アメリカ、フランス、スペイン、ノルウェー、イギリスにおいては、逆に9% ~ 110%の間で上昇しているのが実態である。この理由として、天然ガスや石油などの燃料費の高騰や、再生可能エネルギー買取費用の増大によるものである。

次に、小売自由化のリスクについて考えてみると、次のようなことが想定できる。

電気使用量が小さいほどメリットがない。
電気事業者が安値競争や利益追求だけに向かうと、設備投資や修繕に費用を回せず、大規模停電が発生する可能性。(2003年ニューヨークの大停電)

化石燃料(石油、LNG、石炭)が再び高騰すると、電力取引所での購入価格が上がることにより、電気料金が上昇する可能性。また、これに伴い小売り事業者の採算が危うくなる可能性。

更に、自由化目前でショッキングなニュースが飛び込んできた。それは、新電力(PPS)で日本の5案目に位置し、かつ小売事業者である「日本ロジテック協同組合」が電力小売事業から3月末に撤退を表明。その理由は、資金繰りの悪化である。

電気料金は薄利多売なマーケットであるため、小売事業者が発電所をもっていないところの採算性は、厳しいかもしれない。

最後になるが、4月からの電力小売自由化は、じっくりと研究して取組まれた方がよろしいかと思われる。