存外公平

日付 平成27年6月18日
会長 由見 真治朗

以前、南陽山勝光寺の住職、南慧昭さんの講演を拝聴する機会がありました。皆さんもご存知の通り、南慧昭さんは歌手の南こうせつさんの実のお兄さんです。勝光寺の長男として生まれ、大学卒業後はキユーピーに就職し、50歳で関連会社の社長に就任しましたが、その矢先、副住職としてお寺を継いでいた弟さんがガンで亡くなりました。お寺の跡継ぎが居なくなり、考え抜いて出した結論は 60 歳までは仕事を勤め上げ、家族への責任を果たすことでした。曹洞宗は修行を積まなければ住職の資格が得られないことから、60 歳を過ぎて曹洞宗本山総持寺参禅会で修行の道へ入りました。周りからは「その年齢では修行は難しい」と言われましたが、長老から「修行する者はみんな同じ平等である。過去を捨て、全て白紙にして下さい。真っ白になれば、どんどん新しい知識が入ります。」と教えられ一年半の修行に励んだ後、福岡の曹洞宗修行専門僧堂明光寺で約一年八か月修行し、住職の資格を取得しました。そして、平成17年に勝光寺の住職となり、いまでは「ほっとする時空を与えよう」と年間80回の出前歌説法で心の健康を説いています。

その南慧昭さんの出前歌説法の中に「存外公平」という言葉がありました。「世の中は存外公平に天から光が降り注いでいる。短い期間で考えると、何で自分だけがという不満を持つが、前を向いて一生懸命に歩こうとする人だけは存外公平である」と教えられたそうです。この「存外公平」は、キユーピーの創始者である中島董一郎氏が、社訓について仕事の基本的な考え方を語った言葉です。中島董一郎氏の事業観は、利害損得によらず何が正しいかという不変のものさしを持ち、いかなる場合もこれを基準に経営判断を下したと言います。その背景には、利益の追求よりもまず道義を重んずるという考えがあり、目的を実現するためには目先の損得ではなく、何が本当か、何が正しいかという判断の基準、そして創意工夫を大切にしました。「世の中は存外公平なものであり、もし公平でない結果が出たとすれば、道義を重んずることに問題はなかったか、創意工夫に欠けていたからではないかと反省をしてみて下さい。そうすれば必ず、公平な結果が出てくるはずです」と繰り返し社員に語りかけていました。

いつの世も正直者が馬鹿を見て、ずるい者が得することもありますが、長い目で見れば誠実な人、道義を重んずる人が認められるのが正しい社会であり、世の中は存外公平だと信じ、前を向いて歩くことが人として正しい生き方だと思います。