「MOTTAINAI」

日付 平成27年5月28日
会長 由見 真治朗

皆さんはローマ字で表記された「MOTTAINAI」の文字をご覧になったことがありますか?これは、環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マー
タイさんが環境を守るための世界共通語にしようとした言葉です。

ワンガリ・マータイさんは、1940年ケニア中部ニエリの農家に生まれました。6 人家族の裕福ではない家庭に育ち、他のアフリカ人女性同様に教育を受けられる環境には無かったのですが、お兄さんが両親を説得し、学校へ通うことが出来たことから政府留学生に選ばれます。米ピッツバーグ大学で修士号を取得し、ドイツ留学を経てナイロビ大学で生物分析学の博士号を取得。2002 年に国会議員に初当選し、翌年には環境副大臣に任命されますが、長年、環境問題活動の取り組みとして「3R」を合言葉としてきました。3Rとは「Reduce(発生の抑制)、Reuse(再使用)、Recycle(再資源化)」の頭文字にある3つのRのことです。2005年に京都議定書関連の行事で来日した際、日本語の「もったいない」という言葉を知りましたが、環境3Rにもう一つのR、かけがえのない地球資源に対する「Respect(尊敬の念)」をたった一言で言い表せる言葉として大変感銘を受けたそうです。こうして「MOTTAINAI」キャンペーンが始まり、地球環境に負担をかけないライフスタイルを広め、持続可能な循環型社会の構築を目指す世界的な活動として展開されました。日本語の「もったいない」が世界をつなげる合言葉になったのです。昔から「もったいない」という言葉は、食べ物を残して粗末にすることや、まだ使える物を捨ててしまう場合に使われ、昭和50年代後半、テレビでは「もったいないお化け」のCMが流れていました。

いま日本では、年間5,800万トンの農産物を輸入していますが、1,700 万トンが食品廃棄物として捨てられています。その食品廃棄物は、5,000 万人が 1 年間食べることの出来る量ですが、金額換算で11兆円、処理費用には 2 兆円が使われています。また、その中で本来は食べられるのに捨てられる物を「食品ロス」といいますが、これは食品メーカーやレストラン、スーパーなどの返品在庫や売れ残り、一般家庭の食べ残しや期限切れになった食品のことです。この「食品ロス」は年間800万トンとされており、これは国内の米の年間収穫量 850 万トンに匹敵し、世界全体の食糧援助量400万トン(2011年)の2倍相当になります。この「食品ロス」を削減するために家庭で取り組めることは、食材を買い過ぎず、使い切り、食べきってしまうこと、「賞味期限」と「消費期限」の違いを理解することです。「賞味期限」とは、美味しく食べることの出来る期限でスナック菓子、カップ麺、レトルト食品、缶詰などが対象です。また「消費期限」とは、期限を過ぎたら食べない方が良い食品で弁当、サンドウィッチ、お惣菜、ケーキなどが対象になります。ちなみに、超高温加熱した牛乳は長持ちするため「賞味期限」が記載されていますが、低温殺菌牛乳は「消費期限」が記載されています。この様に、一人一人が食品廃棄物問題に関心を持ち、生活習慣を見直し、自分に出来ることに取り組むことが大事だと思います。ワンガリ・マータイさんは 2011 年 9月25日に71歳で永眠されましたが、いま日本人は彼女の
提唱した「MOTTAINAI」の精神を思い出さなければならないのではないでしょうか。