識字率向上月間について

日付 2015/03/12
会長 由見 真治朗

3月は識字率向上月間です。識字率の向上は1986年以来、国際ロータリーの強調事項であり、「基本的教育と識字率向上」はロータリーの6つの重点事項に指定されていますが、地域の識字水準がその地域の生活水準に直結するとの観点から、「世界中で識字能力の大切さを強調する」、「ロータリー独自の識字率向上プログラムを開発する」、「世界的に非識字撲滅の努力をする」など識字率の問題を再認識し、ロータリアンの意識を向上する月間です。

識字率とは、一定の地域で15歳以上の人口に対する日常生活の簡単な内容について、読み書きができる人の割合と定義されており、ユネスコの推計によれば世界で約7億7,400万人の人々が基本的な読み書き能力がなく、2014年度の全世界識字率は85.4%(15歳以上の世界人口:約53億人)と発表していますが、ユネスコの識字統計は、15歳以上の人口を対象とした成人識字統計であり、学校に通う機会のない14歳以下の子ども約19億人は含まれていないことから実際の識字率は更に低いと考えられます。日本では、統計上の識字率は99.8%ですが、実質は100%と考えられるため、識字率の向上について多くの日本人にとって関心の薄い問題と思われているようです。

1897年12月7日、国際連合は世界の識字率の向上を喚起することを目的とし、1990年を国際識字年とする決議を行い、第42回国連総会で制定されました。この決議は、識字に関する啓発と教育の推進を重要な課題としており、その克服に向けた世界戦略の綿密な策定と世界的規模で識字運動を展開するとしました。当時、識字について国際的に共通の定義はなく、ユネスコは各国が独自に規定する定義を受け入れていましたが、世界の統計を標準化するためのガイドラインでは、「日常生活で用いられる簡単で短い文章を理解して読み書きができる」と規定しました。更に識字の概念は「単なる文字の読み書き能力を超えて、家庭、コミュニティーあるいは仕事場での、ある特定の目的のために、理解をもって読み書きが出来ること」とする機能的識字に移行しています。

世界中で非識字者が多い一番の理由は教育の問題です。特に開発途上国では、貧困のため制服や文具を買うことも学校へ通うことも出来ません。また、教育予算の削減から学校が不足し、教科書も行き渡らず、賃金カットや給与の遅配で教員も不足しています。教育は、健全な社会生活を送るうえで必要な知識や技能を身に付け、経済の発展や平和の構築に大切な分野であるにも係わらず、貧困や紛争、国の情勢により十分な教育を受けることができません。教育には時間が掛かり、すぐには効果が出ないため、基本的な人権であるにもかかわらず後回しにされてしまうのです。

ロータリーでは基本的教育と識字率向上のために様々な活動をしており、これまでにRI識字・計算能力向上実行グループが提唱し、多くの開発途上国で実施された「ライトハウス識字プロジェクト」、タイの学校向けに開発された識字率向上プログラム「語学力集中研修講座」、ブラジルサンパウロのロータリーが実施する、多国籍企業の職場で非識字社員を対象としたプログラム「職場での教育」など識字率を向上する取り組みが行われています。日本各地でもグローバル補助金制度を活用した識字率向上のプログラムを実施しており、世界中の非識字者を減少するために努力をしています。

ロータリーは、世界の地域社会でテクノロジー、教員研修、職業研修チーム、給食、廉価な教科書を提供する教育プロジェクトを支援しており、地域社会が基本的教育と識字率、教育機会における男女の差、成人の識字教育を自力で改善できるよう、その能力を高めることを目標としていますが、識字率向上月間は私たちに何が出来るかを考える良い機会だと思います。