献血について

日付 2015/02/26
会長 由見 真治朗

昨年末、高校生の頃からコツコツと続けてきた献血が100回になりました。初めて献血に行った時の記憶は定かではありませんが、集団献血で学校に来ていた献血バスに乗り込んだような気がします。当時、400ml献血で気分が悪くなり、献血はどちらかと言えば嫌いで数年に一度しかしていませんでした。社会人になってからは、建設業界でキャンペーンに参加するなど献血の機会は増えていきましたが、ある時、献血ルームで成分献血をした際、身体の負担が軽かったことからそれ以来、成分献血を続けています。

かつて大分県は高校生の献血率が全国トップクラスを誇っていました。大分県内全ての高校が献血に協力していた1990年は、16歳から19歳の献血率が29.5%でしたが、県内6校まで激減した2012年には4.3%まで減少し、若者の献血離れが顕著になっています。この20年で10代は3分の1、20代が半分に減少しましたが、40代と50代は増加していることから、若者だけの献血離れが進んでいるようです。

厚生労働省の発表した「必要献血者の将来推計」によると、献血を必要とする人数が最大となる2027年には、109万人分の献血者が不足するとされ、このまま若年層の献血率が減少すると将来的には深刻な血液不足になることが予想されます。若者の献血離れの主な原因は献血への関心の薄さとされていますが、高校の授業が過密化したため、学校で行われていた授業時間中の献血が困難になったことや1985年の400ml献血導入による高校生の献血機会の減少から、献血が身近な存在で無くなったことが大きいとされています。

日本赤十字社の若年層献血継続状況分析では、22歳で初めて献血を経験する場合と比較すると、16歳で初めて献血した場合の方がその後の献血回数が多くなるとされています。そのため、学校で献血セミナーの開催、行政と連携した普及・啓蒙活動、400ml献血の年齢引き下げなどの取り組みを行っていますが、養護教員や学校保護者会からは、成長期の高校生から集団献血は望ましくないとして理解が得られないようです。

一般的に献血は事故や人命に係わる緊急性の高い場面に必要と思われがちですが、事故や怪我など外因に使用されるのは3.5%程度であり、献血の約80%は病気の治療に使われ、その内の約40%がガンの治療に使用されています。いまや日本人の2人に1人はガンにかかることから、自分や家族が輸血を受ける可能性は高いと思われます。ガンや白血病の治療では、長期的かつ安定的に血液製剤を使用するため、常に安定した血液の確保が必要ですが、献血の需要と供給の構造を見ると、主に10代から30代までが血液を供給し、50歳以上が輸血を受ける側であり、少子高齢化が進む現状から将来的に深刻な血液不足になることは間違いありません。

平成25年5月、iPS細胞から血液のもとになる造血幹細胞をつくることに成功したと発表されました。この研究成果は、白血病や再生不良性貧血など血液の難病患者のiPS細胞から正常な造血幹細胞をつくり出し、根本的な遺伝子・細胞治療を行える可能性を秘めており、骨髄移植に代わる新たな治療法として期待されていますが、この手法は倫理面など課題も残ります。また、iPS細胞の技術が進んでも事故や手術など血液が早急に必要な場面は多く、iPS細胞から血液がつくられるのを待つ時間はなく、血液製剤が大量に必要になることから、献血による血液の安定供給が今後も課題となります。

血液製剤を使用する人の約85%は50歳以上であり、インターネットでは「どうして自分たちが献血しなければならないのか?」という若者たちの書き込みを目にします。ただ、今は若者でも、これから30年、40年後には、自分たちも輸血を受ける側になるのです。年齢制限や体質、健康状態により献血が出来ない方も居ますが、献血は誰にでも出来る社会貢献です。1月1日から2月28日まで「はたちの献血キャンペーン」が行われています。「情けは人のためならず」、自分や家族、大切な人のため、日頃からお互いさまの気持ちで献血に行けるよう、周りの若者たちへ勧めてみてはいかがでしょうか?