幼稚園児とフルマラソン

日付 平成27年2月5日
会長 由見 真治朗

2月1日は別府大分毎日マラソンが開催されました。そこで、今日はマラソンの話をさせていただきます。皆さんご存知の通り、フルマラソンとは42.195kmを走る陸上競技ですが、1896年にアテネで開催された第1回オリンピックで、マラトンからアテネ・パナシナイコ競技場までの競走が加えられたのがマラソンの始まりだと言われています。フルマラソンの世界記録は、男子がケニアのデニス・キメットの2時間02分57秒、女子がイギリスのポーラ・ラドクリフの2時間15分25秒、日本国内では、男子が高岡寿成の2時間06分16秒、女子は野口みずきの2時間19分12秒です。私自身も趣味としてマラソンをしていますが、この記録は同じ人間とは思えないほどとても凄いものです。

正直、マラソンは本当に苦しく、「何故、自分は走っているのだろう…」といつも考えてしまいますが、それは苦しければ苦しいほど、ゴールした時の達成感が大きいことや沿道の応援や声援の感動があるから、また次も走りたくなるのだと思います。
そのような、本当に苦しいフルマラソンに挑戦し続ける幼稚園があるのです。大阪の四条畷市にある星子幼稚園では、平成14年から地元のマラソン大会に参加し、毎年多くの子供たちが完走しています。近年では、幼稚園自前の「星の子マラソン」を開催しており、園児が元気良く淀川の河川敷を走る姿が町の風物詩になっているそうです。参加する大人は先生のみで、卒園生達も一緒に走った2013年の大会では、8人の年長組のうち6人が42.195kmを完走しています。幼稚園児にフルマラソンとは一見するとスパルタ教育に思えますが、参加も自由、走る距離も自由であり、決めるのは親でも先生でもなく園児自身なのです。

園児たちの感想は、「しゃべって走るのがだーいすき」、「みんなと一緒に走るのが楽しいの」、「走りながらクイズやるのが楽しいんや」と言い、遊びの延長線上にマラソンがあるようで、しりとり遊びや道端に咲いている野草の名前を当てながら走ります。2~3km毎に給水所を設け、そこで保護者たちが飲み物やおやつを用意し、それを食べて休憩してからまた走り始め、8~9時間をかけて楽しみながらゴールを目指すのです。

そんな園児たちの体力を支えているのが毎日の園内マラソンで、園内にある一周350mのコースを自分のペースで5kmほど走っています。これは心身を育む幼児教育の一環として取り組んでおり、40年以上続けているといいます。星子幼稚園の鉄村和夫園長は、「走る、歩く、体を良く動かすというのは人間の基本。それによって脳の発達も高めていくことが出来るからとても大切なこと」と言います。朝から走ることにより、園児たちの身体と頭、そして心にスイッチが入り、園児の本業である遊ぶことへの準備運動になるのです。また、決まったコースを走るというルールは協調性に結びつき、コースの設営などの準備も自分たちで行うことから自主性を磨く事にも一役買っています。

それでも、幼稚園児にフルマラソンは過酷であり、幼児がやるスポーツではないので、子供たちに結果を求めてはいけないと言います。5kmでも10kmでも一生懸命頑張ればそれで十分。一生懸命に頑張ることは、一等賞になるよりも凄いことだと教えているそうです。

確かにゴールに向かってチャレンジすることに意義があり、取り組む姿勢が大事だと思います。この幼稚園児たちのフルマラソンチャレンジでは、みんなで一緒になって走ることで仲間を思いやる心が育まれ、園児たちはもの凄く仲が良いそうです。このたくましい子供たちが将来どんな大人になるのか非常に楽しみです。