南極の話

日付 平成27年1月29日
会長 由見 真治朗

今日は南極の昭和基地開設記念日です。日本の南極観測隊が南極・オングル島へ上陸を宣言し、基地を「昭和基地」と命名したのが1957年1月29日のことです。この年は国際地球観測年であり、アメリカや旧ソ連を始めとした64カ国による地球物理学現象の共同観測で、日本に割り当てられたのが南極大陸の「プリンスハラルド海岸」でした。この海岸は、アメリカやイギリスなどが上陸に7回も失敗し、アメリカ海軍の報告書には接近不可能と記された南極屈指の難所でしたが、海上保安庁の灯台保安船を改造した南極観測船「宗谷」が奇跡的に南極大陸に到着したのです。

南極は、およそ3,000万年もの間に降り積もった雪で形成される氷床に覆われた特有の地域のため、過去の地球の気象などを知る手掛かりとなることから、オーロラ、大気光、宇宙線、地磁気、氷河、重力、電離層、経度・緯度決定、気象学、海洋学、地震学、太陽活動の12項目で大規模な調査を行ったものです。この国際観測事業は、当時としては例のない国際協力事業であり、南極観測プロジェクトの成功は復興日本を世界に示し、敗戦後の自信を失った日本国民に大きな勇気と希望を与えました。

昭和基地は、30年間の平均最高気温が-7.6°C、平均最低気温は-13.7°C、最低気温の記録は-89.2°Cと地球上で最も寒い地域とされています。氷床に冷やされ重くなった大気が、標高の高い中央部から低い沿岸部へ滑り落ちる滑降風という強風が吹きますが、その風速はおよそ秒速10メートルです。南極の滑降風は、ほぼ毎日午前中に決まった風向きで吹きますが、この強風を利用した風力発電の取り組みが行われています。昭和基地の電力は、大半を大型ディーゼル発電機2基に頼り、燃料は1年に一度、南極観測船「しらせ」で輸送されます。夏場は太陽光で発電しますが、太陽が昇らない冬場は発電できないため、通年に亘って現地で調達できるエネルギーとして設置を計画しているものです。航空関連機器を製造する日本飛行機(株)が開発した新型の風力発電装置は、3枚のブレードが中心軸を取り囲むように取り付けられた構造で、どの風向でも発電でき故障も少なく、風速80mまで耐えられます。昨年11月11日に晴海埠頭を出発した南極観測船「しらせ」は、成田空港から空路でオーストラリア入りした第56次隊60人が乗船し、1月12日の現地時間14時06分に昭和基地沖合500mの定着氷に接岸しました。現在、設置作業を行っていますが、作業が順調に進めば今月末から2月には完成する予定です。

ところで、皆さんは南極でマラソン大会が行われていることをご存知ですか? 42.195kmを走る南極マラソンや100キロを走る南極アイスマラソンなどが開催されており、南極アイスマラソンでは日本人の小野裕史氏が2位に入賞したこともあります。

また、毎年2月末から3月初めに開催される南極マラソンには、私のランニング仲間が参加しました。現在62歳の牧氏は、世界七大陸で開催されるフルマラソン以上の大会に挑戦し、アジア大陸の「東京マラソン」、北アメリカ大陸の「トロントマラソン」、南アメリカ大陸の「アタカマ砂漠マラソン」、ヨーロッパ大陸の「メドックマラソン」、アフリカ大陸の「マラケシュマラソン」、オーストラリア大陸の「エアーズロックマラソン」、南極の「南極マラソン」、そして北極の「北極点マラソン」と七大陸プラス北極のマラソン全てを完走し、日本人初のグランドスラムを達成しました。更に今年5月29日に開催される、世界最高峰エベレストの標高5,356mから3,446mまでの42.195kmを駆け降りるエベレストマラソンにエントリーしています。昨年末も一緒に走りましたが、非常にエネルギッシュな方で本当に尊敬しています。南極と言えばやはりオーロラを思い出しますが、オーロラを見ることの出来るツアーもあり、人生で一度は体験してみたいと思う方も多いのではないでしょうか?「南極マラソン」にも大変興味はありますが、やはり挑戦してみたいとは思いません。