100キロウォークと健康

日付 2014/08/28
卓話者 大分キャピタルRC 吉川医院院長 佐藤俊介

大分キャピタルRC 吉川医院院長 佐藤俊介
自己紹介:昭和29年2月別府市生まれ、春日町小、附属中、大分舞鶴高校(19回生)を経て、昭和54年京都大卒、NIH 研究後、京大放射線部助手。平成4年より吉川医院内科開業、平成13年ホスピス大分ゆふみ病院院長、その後顧問医師、大分キャピタルRC所属。

5年前、わがクラブの10周年で大分第4分グループの当番クラブ時に新春合同例会の会長の時間で100キロウォークのことをお話しましたが、それを契機にかRC関係者から100キロの参加者が増えたようです。もともと、大分の高校教師でヒマラヤ登山家の戸高雅史さんという方が、高校生の鍛錬のために、100キロウォークを始めたというのが起源らしく20数年前のことです。途中から一般の方も参加できるようになりましたが、13回くらいで終了したそうです。それを引き継いで1999年行橋-別府100キロウォークとして再出発させたのが、小倉東RCの川本さん等です。今年で16回目となりますが、奇しくもわが大分キャピタルRCの発足と同じ年です。第1回は行橋駅発別府駅ゴールで小倉東RCの関係者など44名で始まったそうで、完歩者は半分程度です。その後、宣伝なしでも口コミで参加者が増え、私の初参加は7年前の第9回大会からで、その時の参加者数は1800人余り、その後2400人、3200人と増え、人数制限をするようになり3年前は約4000人。2年前から参加申込は郵送に加えてインターネットも使われましたが、申し込みが2日目で定員をオーバーし抽選となりました。運営上4000人程度が限度と思いますが、練習のし過ぎによる足の故障や急用その他によるキャンセルを除いて、今年も参加者は約4500人の大イベントになりました。最近は参加者も事前の練習などをこなすようになり、70%強の方が完歩されています。

日程は体育の日の3連休の土曜日正午スタート、翌日曜の午後まで、今年は10月11日スタートで、制限時間26時間で行われます。出発地は行橋駅近くの正八幡宮で、ゴールは別府の的ヶ浜公園SPAビーチです。参加者のゼッケンにICチップが組み込まれスタートゲートを通過したときに計測が開始されます。ただし事故防止のために、1分間ゲートを開けて150人くらい出して2分間ゲートを閉め、また1分間開けて2分間閉めてというようなウェーブスタートを30回くらい繰り返して最終者の出発は13時半くらいになります。100キロウォークで検索すると行橋-別府のこの大会がまずヒットしますが規模その他最大の大会で、参加者は日本全国から集まり、女性も20%強、年齢も10代から80代までと幅広く、30~50代が最も多いようですが、80代も6名参加し5名完歩しています。一昨年84歳で完歩された方はゴール後擦り傷の治療をしましたが、毎日20キロ歩いているそうで、頭も明晰で大したものです。

コースは正八幡宮を出て、今川の河川敷から海の方まで行き、砂浜を200メートル歩くという名物があります。築城基地で10号線に出てそこから中津駅が36キロのチェックポイント、宇佐神宮、宇佐駅を過ぎたところで61キロの第2CP。そこから25キロの第3区はダラダラのぼりの立石峠を越え、中山香を過ぎて川沿いの10号線は歩道がないため700メートルで130メートル登るという七曲りの急坂を越え、それが終わると1キロ余りで赤松峠越えというハードな第3区を終えると日出バイパスの少し上のCOCOストアが第3CPです。残りの4区は下りと平坦な14キロの別府湾岸道路で、的ヶ浜公園SPAビーチがゴールです。ルールは100キロのコースを走らずに歩きで、途中で寝込んでも構いませんが、26時間内に歩くというものです。26時間内に完歩された方は完歩証を受けます。各地に100キロウォークのイベントが行われるようになってきましたが、マラソンのように、スタートとゴールが同地点で往復の21キロ間を約6時間程度マネージするのとは違います。当日は行橋では朝6時から準備し12時に送り出し、その後沿線をガードし、救援車を走らせ、各チェックポイントを運営し、ゴールでは前日に設営を終え、夜中の0時ごろからトップを待ち、最終者時間外完歩者を夕方17時近くまで待ち受けます。カバーする範囲が広く、時間も36時間ととても長いのです。それを運営するボランティアも交代で延べ500人以上になり、その組織の準備に春先からかかります。私は歩きもですが、4年前からゴール後に救護班の医師も務めるようになり、裏方の大変さ、楽しさもよくわかるようになりました。ゴール地点の別府では、完歩者だけでなくリタイア者も隣の中央小学校体育館にバスで収容されます。別府北RCの瑞木さんと尾林さんがゴール班で中心になってくれています。

自分のことですが、初参加の5年前6月、初めて宇佐大分50キロを練習会で歩いた時、足はマメだらけ、爪は6本が真っ黒、田ノ浦ビーチからは足を引きずって帰ったことを覚えています。本番はあまり休憩も取らずに歩きづめで、17時間58分と初回にしては好タイムで歩けたことからはまってしまいました。しかし直後は迎えの家の車に乗り込むのも一苦労、降りるのも一仕事、服も脱げず脱がせてもらい、風呂に入るのもまたぐことも大変。3日間階段を後ろ向きから横向きで降りていました。本番で頑張りすぎて脚に無理が来てゴール後歩けなくなり病院行きとなる人が必ず何名かいます。脚の疲労だけでなく全身の疲労も激しく、徹夜で歩き通したのに全身が痛くて体中大火事を起こしたように火照って寝られず、痛み止めと安定剤でやっと少し寝ただけです。食べ物も1日目は水物しか受け付けず、翌日からやっと少し食べられるようになったほどです。血液検査を前後でしてみると筋肉の崩壊を示すCPKが1000以上と正常の10倍程度、GOT、GPTなどの肝機能も倍以上にあがり、CRPという炎症反応もかなり上がり、全身大火事の状態になっていることがわかりました。こんなきついこと、そして体に悪いことは二度とすまいと皆思うのですが、しばらくすると来年はどうやって歩いて記録を縮めようか、と考えています。実行委員長が記録の集計に熱心で、リタイア者まで漏れなく個人記録を感想文集の記録欄に残します。スタート時間はゲートを通過した時間で、中津、宇佐、日出のCPの通過時間とゴール時間が瞬時に記録され、平均時速も計算され、その時点の暫定順位も出てきます。自分も毎年時間を縮め3年前は14:49、4000人中29位で歩くようになりました。その後も記録更新を一応狙ったのですが、スピード練習をやりすぎて股関節を痛め翌年は14時間54分、44位くらいで初めて記録更新はなりませんでした。こちらの事務局の成安さんが私の直後にゴールしています。

2、3回目から体が慣れてきたようで、15時間あまり歩いた後でも、先着の上位者の友人からビールを一本頂き一息ついた後、ゴール地点と小学校体育館とテルマスの間を自転車で走り回って要介護者を見て回り、また腹も減ってたまらなくなりボランティア用の朝食の炊き出しも昼の弁当も腹いっぱい食べないと収まらないようになってしまいました。私のように未明3時前にゴールする早い連中は、平気な顔で帰ってきますが、足のマメや転んで擦り傷は当たり前で、脱水症や熱中症で救急車を呼ぶべきかどうかと悩まされる方が何人もいますし、頑張りすぎてゴール後脚が全く動かなくなり救急病院へ送ってゆくような人も何人かいます。お昼頃24時間くらいかかってゴールするころになると、公園に入るわずか2段の石段を這って上がるような人もいます。女性だけでなく若い男の子でも泣きじゃくりながらゴールするものも多いのですが、24時間ものた打ち回った末のゴールですからよほどの感動があると思います。私も初回はうるうるきました。このようなことが100キロウォークの概要です。

わがクラブからも今年は4名の参加で、大分東クラブは4年前から角山さん、岡村さん、岩崎さんと歴代会長が完歩を遂げ、今年も4名が参加すると聞いています。100キロウォークは一種の冒険なので、誰にでもは勧めませんが、もしやってみたいと興味のある方は個人的にお尋ねいただければ詳しく説明いたしますので、どうぞお知らせください。

最後に健康とウォーキングについてですが、私は患者さんの全体の状態を計るために、朝はすっきり目覚めますか?体は軽く動きますか?食事はおいしく食べられますか?眠りは良いですか?これらがOKであれば健康度は高いと思います。

ウォーキングは足腰と心肺機能の維持強化のために最も手軽な運動ですが、汗をかいていらないものをデトックスで排出し、体の歪みを正し、ストレスを発散させるなど多くの面で有効です。しかしぶらぶら散歩では運動にはなりません。週に2回でも3回でも歩く時間を作り、手ぶらで歩きの服装で歩くこと。そして最初は5分でも10分間でもよいから途中速足で歩くことです。歩きは走りにくらべて膝などへの負担が3分の1程度で、どなたが始めても無理がありません。速足で歩ける時間が10分から20~30分程度までなればまずまずです。速足で歩くというのは運動強度を上げるためで少し息が荒くておしゃべりしにくいくらいで50~60%程度の運動強度になります。年配の方は強い運動を急にやると事故にもつながりますので少し抑えて長くというのが安全で効果的です。

フォームはあまり気にしなくても良いのですが、注意すべきポイントの1番目は背筋を伸ばし頭と腰を高く保つことです。背中を丸めて腰が落ちていると歩けません。2番目は腕を前にではなく下から後ろへと振ることです。そうすると胸が開き、肩甲骨も大きく動くようになり前への推進力も上がります。3番目は脚を平行に、出来れば一直線上に出すようにします。がに股に開いて出すのではなくて、結果として腰を振る感じのモデルウォークのようにはなりますが、直線状を歩くように心がけるとより全身を使うようになりますし、またストライドが5cm程度伸びて速く歩けます。

服装はなんでも結構ですが、靴が1番重要です。少し底の厚めのマラソン初心者用のようなランニングシューズを使う方が多いのですが、上部のしっかりしたウォーキングシューズを使う方もいます。サイズが重要で脚のサイズより0.5~1cm程度大き目のものでかかとで合わせて指先がどの指も靴先につかえないことが大事です。少し大きめでもインソールを入れて調整は出来ますが、歩くと足も膨らんでむくみますので窮屈な靴では必ずマメができます。

天気の良い気持ちの良い日に別大国道を田浦ビーチまででも良いですから背筋を伸ばして腕を後ろに振って歩くと面白いのではないかと思います。