職業奉仕月間について

日付 平成26年10月23日
会長 由見 真治朗

10月は職業奉仕月間です。そこで今日は職業奉仕について話をさせていただきます。
20世紀初頭、アメリカの資本主義社会は、激しい自由競争により職業倫理の低下と人々の心の荒廃を招き、貧富の格差や失業者の増加、都市における貧困地区の発生など、多くの社会問題が生じます。交通の要衝として栄えたシカゴは、都市への人口集中から都市計画が追いつかず行政機能が麻痺します。そのような状況下、アメリカの都市部でも様々な社会改良運動が起こりますが、若き日のポール・ハリスも、職業人の心が通い合い徳性を向上することがシカゴの町を良くすると考えます。

ある日、弁護士である友人から自宅へ招かれ、食事の後に近所を散歩していると、町の店主たちが友人を笑顔で迎え握手をしている姿を見て驚きます。心から信頼し合う親しい関係から、お互いに取引をしていることが見て取れ、その光景を見たポール・ハリスは、同業者でない人達であれば自由競争の関係もなく、心を通わせることが出来ると気付きます。そして、一つの業種から一人を選び、職業人同士が心を通わせる社交クラブシカゴRCが誕生しました。一業一会員制と例会への出席義務を原則とし、会員同士の親睦を目的として出発したロータリーですが、せっかく沢山の仲間も集まったことだし、お互いの商売で金儲けしようという発想が浮かびます。当初のシカゴRCには奉仕の概念はなく、親睦と事業の繁栄を目的として、会員同士の互恵取引を積極的に行う相互扶助のグループでした。当時のシカゴは、人を騙して商売をするのが当たり前であり、そのような時代にロータリーへ入会すれば、親睦で得た信用、信頼のある人から良い品を安く仕入れ、安心して取引も出来ることから、当然、入会したいと考える人が多く集まります。そのため、クラブの数や会員も爆発的に増えますが、次第に社会から批判を受け始め、ロータリーを永続的に発展させるには自分たちの利益だけを追求するのではなく、世間の人たちの共感を得なければならないとして社会奉仕や国際奉仕へ方針を転換しました。しかし、初期のロータリーに入会した会員のほとんどは、親睦と互恵取引による事業の発展を期待して入会したため退会してしまいます。そこで、職業上の相互扶助を禁止する代わりに提唱されたのが職業奉仕の理念です。継続的な事業の発展を得るには、自分の利益を優先するのではなく、自分の職業を通じて社会に貢献するために会社を経営すること。つまり、会社で働く従業員の物心両面の幸福を追求し、取引先と公正で友好的な関係を築き、顧客に最良の品質と技術を提供し、売った商品には最後まで責任を持つ、そのような経営を行えば結果として事業が永続的に発展する。それが職業奉仕の理念なのです。

その職業奉仕理念の指針となるのが四つのテストです。四つのテストは、職業奉仕に相応しい職業倫理訓として国際ロータリーより採用されましたが、元々は倒産寸前であった調理器具メーカー再建の行動指針でした。倒産の危機にあったクラブ・アルミニウム社の仕事に関連する全ての事柄において従うべき倫理的指針として考案され、四つのテストを実践した結果、従業員や取引先、顧客との関係が良くなり業績も次第に好転、5年で負債を完済し、その後は株主に対して配当を行うまでになりました。

真実かどうか…嘘偽りはないか
みんなに公平か…関係する全ての人に公正か
好意と友情を深めるか…信用を高め、より良い関係を築けるか
みんなのためになるかどうか…関係する全ての人に有益か

四つのテストTHE4-WAYTESTは複数形ではないので、四つが別々になっているのではなく、四つをまとめたものを一つとして実行しなければならないという商取引の判断基準であり、会社経営の指針でもあるのです。

シカゴRC初期のメンバーであり、ロータリーの基礎を確立したアーサー・フレデリック・シェルドンにより創作された標語、「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」

これは、自分の儲けを優先するのではなく自分の職業を通じて社会に貢献するという意図を持って事業を営めば、結果として継続的な事業の発展が得られるというシェルドンの考え方ですが、職業奉仕を一言で言い表すには、この標語が一番わかりやすいと思います。