宇宙の日

日付 平成26年9月11日
会長 由見 真治朗

明日は宇宙の日です。国際宇宙年であった1992年に制定された記念日ですが、これは毛利衛氏が日本人として初めてスペースシャトル計画に加わり、宇宙へ飛び立った日が9月12日だったからです。宇宙といえば、昨年はアイソン彗星やロシアの隕石落下、中国の無人月面探査機が月面軟着陸に成功などが話題になりましたが、少し前とはいえ小惑星探査機「はやぶさ」の地球への帰還が記憶に残っています。

2005年5月9日に打ち上げられた「はやぶさ」は、地球から約3億kmも先の小惑星イトカワを目指しました。イトカワの直径は540m、重力も非常に小さく着陸は出来ないため、底部にあるサンプラーホーンという装置で金属球を打ちこんで地表面を破砕し、飛び散った岩や砂を採取しますが、その採取する1秒ほどの降下の様子から「はやぶさ」と名付けられました。

「はやぶさ」は、1985年、宇宙科学研究所の「小惑星サンプルリターン小研究会」として始まりましたが、当時は要求を満たすロケットが存在しないことからプロジェクトの提案はされませんでした。その後、M-Vロケットの開発を受けて検討を再開し、1995年に実験探査機として選定され、翌年、正式にプロジェクトが開始されました。「はやぶさ」の川口淳一郎プロジェクトマネージャーは、「はやぶさは新規技術のてんこ盛りでした。新しい技術はいつ完成するのかわかりません。いかに新しいアイデアを思いつけるかが問われました」と話しています。「はやぶさ」には新型のイオンエンジンや自立航法などの最先端の技術が採用されていますが、イオンエンジンの3台同時運用や4万時間もの長時間稼働も世界初の成功と言われています。レーザー高度計や近距離センサーを用い、自らが自分の位置を判断し、目的に近付き姿勢を変える自立航法、イトカワへの着陸も全て「はやぶさ」が自分で判断して行ったのです。

そして、打ち上げから半年後、「はやぶさ」は2会長由見真治朗回目の着陸を行いましたが、化学エンジンの燃料漏れが発生し、ガス化した燃料が噴き出したことでコントロール機能を失い、7週間も消息を絶ってしまいます。通信回復後は、姿勢制御に使用する化学エンジンが故障のため、イオンエンジンの燃料であるキセノンガスを直接噴射し、姿勢制御が可能になりました。2006年3月には奇跡的に復旧し、管制室運用チームの1年間に亘る努力により、地球帰還に向けた運転が開始しましたが、2009年11月、ついにイオンエンジンの寿命が尽きたことによりエンジンが異常停止しました。4台ある中和器の壊れていない部分を組み合わせ1台のエンジンとして使用するクロス運転を実現させ、2010年6月13日に満身創痍の状態で地球に帰還しました。

今回の「はやぶさ」3億kmの旅では、小惑星イトカワに直径10cmほどのターゲットマーカーを置いてきました。灯台の役割を果たす装置ですが、川口淳一郎プロジェクトマネージャーは「タイムカプセルを置いてきたと思っています。タイムカプセルはもう一度拾い上げ開けてみるからタイムカプセルなのです。それを是非、持ち帰って欲しい」と言います。

今年1月には、世界初の宇宙旅行専門会社「株式会社クラブツーリズム・スペースツアーズ」が設立されました。マザーシップに搭乗し、高度16km付近でスペースシップを切り離した後、ロケットエンジンが点火します。音速の3倍の速度で3.5Gの重力加速度を受け、高度110kmの宇宙空間へ突入し、約4分間の無重力体験をしながら窓の外に広がる宇宙空間と地球の姿を楽しみます。その後、地球に帰還する約2時間の宇宙の旅は25万USドル(1ドル106円換算で2,650万円)ですが、民間人の気軽な宇宙旅行が実現する日が本当に来るのかも知れません。いつの日か民間人が宇宙を旅行し、「はやぶさ」が置いてきたタイムカプセルを拾い上げることが出来るのでしょうか?